スーパーSINET推進協議会

ナノテクノロジー部会用システム運用開始

—スーパーコンピュータ結合によるナノテクノロジー研究体制の確立—

 

 

 

 

ナノテクノロジーは、次世代高度情報化社会を支える基盤として期待されている夢の新技術です。2010年以降の製品化を目指し、現在、理論及び実験的基礎研究が盛んになされています。具体的には、これまでのシリコン技術に基づいた、大きいものを小さくする(サイズダウン)技術による1年半で倍密度という集積回路技術の進展に限界が見え始め、それを抜本的に解決するため、分子レベル部品を実現し、それらを組み合わせて超微小回路を構成して行く(ボトムアップ)技術への移行を行おうとするものであると言えます。




一方、昨年度から、国内の高度研究機関を10Gbpsという超高速光通信で結合し、研究機関間の情報共有と連携強化を図るためのスーパーSINET設置が開始されています。このネットワークの活用を図るため、宇宙物理学、高エネルギー物理学、ライフサイエンス、ナノテクノロジー、及びGRIDの5部会構成による推進協議会が設けられ、本センター長の川添がナノテクノロジー部会長を仰せつかっております。また、他に、岡崎国立共同研究機構分子科学研究所(分子研)の茅幸二所長を代表として、学術創成研究費による「新しい研究ネットワークによる電子相関系の研究 — 物理学と化学の真の融合を目指して —」という研究プロジェクトが活動を開始しており、その一部にもスーパーコンピュータ結合による超大規模シミュレーション計算が企画され、川添が計算機ネットワーク構築班長になっています。さらに、ナノテクノロジー研究専用の超大型スーパーコンピュータの概算要求が分子研を中心として進められています。

 

10月1日(火)に、ナノテクノロジー部会を構成する、本所、分子研、東京大学物性研究所、及び九州大学間のスーパーSINET結合が完成しました。図に示すように、従来のスーパーコンピュータ間をVPN(Virtual Private Network)によって結合し、より大規模な材料設計シミュレーション計算実行を可能とする試みが開始されたと言えます。現在、本所独自開発の全電子第一原理計算プログラムであるTOMBO(Tohoku Mixed-Basis Orbital)コードを最初の例題として採用し、その分散処理化と、ネットワーク上での効率的処理方策の検討を行っています。

尚、本記事に関しては、10月1日(火)のNHKニュースで詳細に報道されました。

 














—ナノテクノロジーVPN構成図—